B.A.D.

ライトノベル紹介第6回目は、今月末に新刊が出た「B.A.D.」(ファミ通文庫 著:綾里けいし イラスト:kona)です。
これは第11回えんため大賞優秀賞受賞作品で、私如きが紹介しなくてもわかってると言う人がいると思います。
ただ単に紹介したかっただけなので、この紹介文を寛容な心で見てやってください。
少々グロテスクな内容と表現が用いられている、各話完結型のお話。それでも各話のフラグを最後には消化しているので、1巻完結型でもあります。
この作品の特徴を軽く挙げるなら、個人的にですが和風・ミステリアス・ホラー・ロリータって感じ。
ホラーと言ったのは、どこか気味悪く感じる表現が見事に表現されていることである所以です。ロリータはヒロインのことです。
ヒロインの繭墨あざかは、全身黒のゴスロリ服に、和風の紅い唐傘。チョコレートをぼりぼりと食う明らかに異常な少女。言葉上では和洋折衷で似合わないように思えても、読んでみると、彼女にはぴったりだと思ってしまう程、歪んでいて面白い。
今まで小説を読んできた中で、あざかはこれと似ていると思うキャラが一人もいないぐらい独特で強烈な味があるいいキャラです。
少しだけ本文を載せますが、
「レトロなのはいいことだよ。不便は退屈を助長させない。不快と退屈のどっちがマシだろうねぇ」(引用:B.A.D.[1] P.15 繭墨あざか)
と最初の方の言葉だけでも、皮肉に聞こえたり、何か超越した感じ、そしてどこか楽しみ、儚い感じがします。
そんな彼女の補佐をしている主人公の小田桐は、そんな彼女に振り回されながらも、何かを持っている気苦労キャラ。
自由気ままなあざかに振り回されては助けられる、そんな奇妙な関係をどうか自分の目で読んで楽しんでほしいなと思います。


B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる (ファミ通文庫)

B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる (ファミ通文庫)



あらすじ(抜粋)
「小田桐君。理由なく人を殺せるぐらいでないと、狂っているうちには入らないさ」チョコレートを片手に、彼女はそう僕に告げた。傲慢で冷酷で我が儘な偏食家。そして、紅い唐傘を手にゴシックロリータを纏い、僕の絶望に突き放した微笑を浮かべる14歳の異能の少女、繭墨あざか。けれども、あの満開の桜の下、彼女は言った。僕の傍にいてくれると――。第11回えんため大賞優秀賞。残酷で切なく、醜悪に美しいミステリアス・ファンタジー開幕!