今日の旅路

ボクは探していた。明日を過ごすためのモノを。
周りは笑う。それは無くても過ごせるものだから。
でもボクは探す。それが無ければ寂しくなってしまうから。


それはあった。案外近く、それでいて遠い場所。
暗くなり始めた外の景色。しかしその場所は明るかった。
ボクは入る。黒く引き締まったモノが綺麗に並んでいる。
その奥の一角にあったのだ。周りに負けぬように光るそれを。
ボクは困る。これはどのくらいのモノなのか。
だから傍にいた一人の女性に聞いた。
「これはここに書いてありますよ」
重ねた箱の後ろに書いてあった。それからは選ぶ時間。
しかし気になるものがあった。欲しかったモノの下に並ぶ虹。
女性は聞く。「これも必要ですか?」
ボクは首を振る。失くしたモノはこれだけなんです。
その女性の笑顔がボクの口を滑らかにさせる。
「それは大変ですね。ゆっくり選んでください」
しかしボクはその言葉の時に手に持っていたモノに決めていた。


テーブルに着く。女性は色々と優しかった。
それでもボクは最後まで素っ気ない言葉で応対してしまった。
ボクはモノを手に入れた。だからここを立ち去る。
女性の「ありがとうございました」。
その笑顔はこれまた輝いていた。
でも卑屈なボクは表面だけの笑みではないかと疑う。
それでもボクは、その笑みの内、いくつかは本当の笑みだと願った。


夜を歩く。灯りが上からも横からも過ぎていく。
ある食事処に目がいく。思わず寄ってしまった。
目的が達成されたからであろう、いつも食べ慣れている味がさらに美味しかった。
満足して帰路を辿る。これで明日も楽しく生きていけるだろう。






なんというポエム。しかも欲しかったモノとはネクタイピンのこと。
明日にお高い証明写真を撮るのですが、ネクタイピンがどうしても見つからず、探す旅に。
タイピンぐらいなら、その辺の洋服店でもあるだろう。そう思っていました。
……扱っていないもんですね。
結局、いつもの道とは一本隣の大きな通りで探して、紳士服の店の看板があったのです。
スーツがずらりと並ぶ中、タイピンがありました。2000円……思ったより高かった。
ネクタイもすぐ下にあったのですが、4000円。
今持っているサイフから恐ろしい悲鳴が聞こえたような聞こえないような。見て見ぬふり安定。
応対してくれた女性のネームプレートに実習生と書いていたので、少し警戒するように話しましたが、すんなりと買えました。
ポイントカードも年会費が無料なクレジット無しを作ってしまいました。仕方ないじゃない、実習生だよ?ここは男の子として頑張った。
その帰りの牛丼屋。うまかったな〜。結構歩いたので飯がうまいうまい。ポケウォーカーを持っていけばよかったとふと考えてしまって、その時に後悔しました。
友達はタイピンなくても大丈夫だと言っていましたが、さすがに公務員の書類に使うので、欲しかった。後悔はしていない。
ここまで読んだ人がいるならば疑問に思う人がいるでしょう。
な ぜ ポ エ ム 調
それはな……牛丼食った帰りに、昨日のとある配信でポエム読んでいたのを思い出してしまって、頭も腹もハッピーな状態で綴ったらこんな結果になったよ!
これはそっと黒歴史にIN