嘘つきジャッカル

なんとなく夢日記をブログに書こうと思った。後悔は多分する。
面白い夢は物語風に今までつけていたのですが、完結型なら載せてもいいかなって。
タイトルはジャッカルになっていますが、狼少年の別verって感じで。




今日も少年は人と話す
しかし少年が言うことは全て外れてしまい、貧乏でもあったので、嘘つきジャッカルと呼ばれるようになりました。
それでも少年は話し続ける。話していないと苦しさに潰されそうだから。
そんな少年にいつも真摯に聞いてくれる少女がいました。
少年には不釣り合いな地主の娘です。
少女はこの村から出たことがなく、外に狩りにいく少年の話をいつも楽しそうに聞いています。
一方、少年の母親は病で帰らぬ人となりました。父は既に死んでいます。
死ぬ直前、少年は「母さん、もうすぐ元気になるよ。だって毎日お祈りしているもん」
「ありがとう。最後まで優しい嘘をついてくれて」
母の最期の言葉。少年にとってみれば家族から見ても嘘つきジャッカルなのでした。
村で大きな祭りが開かれる日。少年はいつものように狩猟をしていた。
するとガチャガチャと金属音がぶつかり合う音が聞こえる。
少年は茂みに身を隠し、その音がする方向へ足を進める。
馬にまたがった派手な装飾の騎士。その後ろに従軍する、百人はいるであろう鈍色の騎士。
少年はすぐさま村へ知らせました。何故なら騎士が掲げていた旗は、敵国の紋章だったからです。
村に着く頃には夜になっており、宴が最高潮になっています。
少年は嘘ではないといいます。しかし酔った大人たちは足蹴にしました。
「国境近くの村ではないから、大丈夫だ」
「逃げた後の食事を一人占めにしようとしているんだな」
「嘘つきジャッカルは帰れ!」
少年は泣きながらも諦めませんでした。そして地主の娘に言います。
「貴方がいうことは面白いの。でも今日は祭りよ?そんな時に敵なんて来ないわ」
優しく微笑んでくれる少女。少年はその少女を守りたい。
少女の鳩尾に拳を入れ、気絶させると、大人に気付かれないように、猟でよく用いる洞穴に逃げ込みます。
そして朝になりました。少女も身を起こし、なんとか宥めて、村に行きました。
火は轟々と燃え盛っています。村もヒトだったものも全て赤く黒くそして白くなっています。
少女は泣き崩れました。少年はただ茫然と惨状を見ています。
少女は少年に振り向きました。優雅な少女に不相応な泣きじゃくれた姿です。
「どうして嘘を言ってくれなかったの?嘘だったらよかったのに」
少年は何か言い返そうとしました。しかし少女の剣幕に負け、何も言えません。
「私はもうこれ以上生きていけません。貴方のように嘘をついて生きられません」
そして少し炭化した木の破片で少女は喉に突き刺して絶命しました。
少年はもう涙も出ません。最後まで嘘つき呼ばわりしなかった少女も嘘つきと言って死んだ。
絶望。目の前には真新しい赤い血が広がっています。
そんな少年の後ろに鈍色の騎士が現れました。そして少年に問います。
「お前はこの辺の地理に詳しいか」と。
「はい、狩りで遠出していたのでわかります」
少年は騎士に連れて行かれます。今言ったことは真実。
死んだ少女のために嘘をついて死ぬべきだったのかもしれません。
少年は生きるためだと自分に嘘をついて今日も生き続けます。